創始者ブログ

大学の将来

2015.09.07

 大学運営について毎号テーマを決めて論文や報告が掲載される「IDE現代の高等教育」という会員制の雑誌があります。No. 573、2015年8-9月号には「私大経営の展望」について興味深い論文や報告が掲載されていますが、その中に、読売新聞松本美奈氏が寄稿された「取材ノートから」と、これとは別に8月29日(金)付け日本経済新聞17面「大機小機」欄に恵海氏が寄稿された「そして日本人がいなくなった」を読んで少々驚きました。

 

 大学教育のありようについて政財界から厳しい批判があり、人文社会科学系の学部はもう要らない、実社会に役立つ人材育成を行うようにとの文部科学省の国立大学に対する指導があり、それに対応した識者の見解が新聞雑誌の教育関係欄を賑わしています。その様な状況の中で、そのことに対応したとみられる教育関係の学会に松本氏が参加したところ、参加者満員にもかかわらず、内容が低調、発表者に対する司会者の指導も「発表者は狙いと、まとめをしっかりさせてください」などとあり、小学校の学級会並の状況に苦笑したとのこと。また、最近、松本氏は東京都内の有名大学で講師を務め、大学改革の現状について約500人の学生に大教室で話しをした後、大学教育の意義について質問をしたところ、「大学教育は役立たず」、「意味のないもの」、「テスト前に対策をしておけばこなせるもの」、「就職までつなぐもの」というネガティブなものばかりだったと述べています。懸命な努力をされている先生方は居られるのだがとは付け加えてありました。

 

 もう一つ。8月29日(金)付け日本経済新聞17面「大機小機」欄に恵海氏(ペン・ネームらしい)の「そして日本人がいなくなった」という記事です。恵海氏はワシントンDCに本部がある国際通貨基金(IMF)に日本人職員がいなくなったということを嘆いておられるのです。IMFには世界の一流大学の博士課程卒業者に対し、IMFへの就職を促進するプログラムがあり、年間採用枠は20人程度で3000人もの応募があるが、日本人はほとんど合格していないということです。

 

 こんな記事を読んで,日本はこの先どうなっていくだろうと暗い気持ちでいたところ、本学教育学部2年生全員が2年後の教員採用試験に向けて合宿勉強会をしているので学生に話をして欲しいとの依頼がありました。

 

 学生は小学校・幼稚園教員、保育士になることを目指しているので、私が興味を持っている幼児の言語習得について、短時間ながら話をしました。学生は身を乗り出すように熱心に話を聞き、その瞳は輝いていました。このような清々しい若い人たちの視線に出会うのは、本当に久しぶりで感激しました。その後、教育学部長や教育学部の数人の先生たちの教育学部の詳細な学習計画を聞かせて頂きました。学生の熱心さに負けず劣らずの先生方の熱意に,これも感激。お昼になって、合宿所の食堂に案内され学生と一緒に昼食。驚いたことに食事をもったトレーを抱えた学生が一緒のテーブルに我先に来てくれ、食事中親しく話しかけてくるのに又々感激。教職員や学生に敬遠されるのが普通と思っていたのに意表を突かれて戸惑いましたが、こんなに嬉しいことは久しぶりでした。

 

 単純で大げさな言い草ですが、本学にこんな若者たちや教職員がいるのだから、日本は大丈夫と思った次第です。

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