MIC-AP AP

2016.11.22

アクティブ・ラーニング・シンポジウムについて 

平成28年度本学アクティブ・ラーニング・シンポジウム


副学長 ベンジャミン・ピーターズ


 


 本学は去る11月12日、東京国際交流館(お台場)でアクティブ・ラーニング・シンポジウムを開催しました。このシンポジウムは大学教育再生加速プログラム(AP)プロジェクトの研究成果の中間報告のために行ったものです。平成26年度に文部科学省の募集に対して本学は“アクティブ・ラーニング”と“学修成果の可視化”複合型の枠で応募し、審査を経て採択されました。このAPプロジェクト募集に対し、本学はアクティブ・ラーニングによってクリティカル・シンキングを学ぶという本学が確立してきた手法をさらに充実させ、学修成果をルーブリックのような学力判断基準で評価し、e-ポートフォリオ(各学生の学修記録)を使って、学生や教員が学習歴を見て分かり易いように、また追跡して見やすいようにすることを計画書に述べて応募しました。シンポジウムでは本学のワーキンググループのメンバーが、現在の活動状況と将来計画についてプレゼンテーションを行いました。


 


 161122_01アン・ハワード教授とカトリーナ・メット・モーク講師はアクティブ・ラーニングのワーキンググループ(ALWG)を代表して基調講演を行い、笠井綾講師が通訳をしました。ALWGは本学でのアクティブ・ラーニング活動の観察と評定を行っています。発表ではアクティブ・ラーニング活動の分類と、教員と学生について行った調査結果を報告しました。ALWGはアクティブ・ラーニング活動を2つの尺度で分類しています。1つは“外向き”(個人間の戦略)又は“内向き”(個人内部の戦略)の分類で、他の1つは“準備された”(準備又は習熟した戦略)又は“即席の”(即興的戦略)の分類です。ALWGの調査結果によると、本学教員が採用しているほぼ全てのアクティブ・ラーニング活動は外向きで即興的であり、例えるならインフォーマルなディベートのようなものでした。2番目に多かったのは内向きで準備された戦略でした。例えるなら、テキストに対する各人の反応を書くというものです。この調査での1つの重要な発見は、学生は自分たち自身がアクティブ・ラーニング活動に参加していることについて、95%の学生が最初は成功しなくても学修活動にチャレンジしたいと主張していることです。これは学生の勤勉さの誠意を反映したもので、成功に対する強い決意を示したものであると思います。


 


 161122_03クリストファー・ジョンソン講師のプレゼンテーションはAP事務局の大関智史氏の通訳で行いました。この中で、クリティカル・シンキングのワーキンググループ(CTWG)はクリティカル・シンキング・テスト初版の設計及び実施に係る進捗状況を報告しました。アクティブ・ラーニングを通してクリティカル・シンキングを実践して修得することは、本学創設以来の教育目標の核心です。APプロジェクトでCTWGは学生のクリティカル・シンキング・スキル修得の進度を評価するために、テストを作成して学修成果の可視化に役立たせようとしています。また、CTWGは本学のクリティカル・シンキング・テストの設計に関してCTテストが測定するスキルの種類、テストの形式、平成28年度秋に実施した1、3、4年生を対象に行ったパイロット・テストの結果について報告しました。予備段階の結果を考慮して、CTWGはテストの内容を改良して次学年度に正式なCTテストを始める予定です。


 


 アンダーソン・パソス准教授はアクティブ・ラーニングの成果をe-ポートフォリオで可視化することについてプレゼンテーションを行いました。それは学生が提出するe-ポートフォリオとその評価基準について、e-ポートフォリオワーキンググループ(ePWG)が開発した評価基準についての報告です。このプレゼンテーションはマハラ・プラットフォームを用いた本学のポートフォリオ・システムの説明ですが、国際教養学部と教育学部の学生を対象とした4年間のアクティブ・ラーニングでの学修成果を可視化する基準をいかにして開発したかという説明です。ePWGは学生のe-ポートフォリオの内容を例として示し、e-ポートフォリオが段階的に取り入れられていることを説明しています。この中には国際教養学部1年次の核になる学科目と海外研修プログラムが含まれています。必須科目である情報通信技術概論、リベラル・アーツ入門、世界市民入門を受講している国際教養学部1年生全員及び、海外研修の2年生が、マハラ・プラットフォームのe-ポートフォリオで課題を提出しています。


 


 次のプレゼンテーションでは、ルーブリック・ベース・シラバスワーキンググループ(RBSWG) のロイド・ウォーカー国際教養学部長補佐が学生の学修目標と学修成果の評価及びその可視化に向けた本学研究の進捗状況について報告しました。調査と教員との協議を経て、RBSWGは大学全体で統一されたルーブリックを開発し、現在では全ての授業でルーブリックに基づいたシラバスを使っています。教科のシラバスにルーブリックを用いる目的は学生が本学のディプロマ・ポリシーに関係づけられている学修目標を理解し、また学生の目標達成に向けた進度を把握するためです。本学の教員は大学全体のルーブリックを自分の授業に合わせて修正や補足をすることが認められていました。プレゼンテーションでは大学全体のルーブリックを継続的に改善するために、教員が行った修正や補足に関する調査結果を発表しました。また、シンポジウム参加者には、教科ルーブリックについての学生の自己評価例を提示しました。


 


 161122_02このシンポジウムの最後のセッションは、ジュリア・クリスマス教授のアクティブ・ラーニング講習会でした。本学は平成6年の創設以来アクティブ・ラーニングを用いてきましたが、それは、日本の高等教育で学修戦略として受け入れられ始めたばかりのころです。講義形式の指導は意味があり必要なものではありますが、学生にとっては、しばしば受け身の学習経験になります。学生は積極的に学習内容や学修過程に関わることによって、もっと多く学ぶことが出来ることが研究で明らかにされています。このセッションで、クリスマス教授はシンポジウム参加者に、アクティブ・ラーニングを用いて、学修内容と学修過程に学生を引き込む色々なアプローチを教授しました。参加者の一部の方はアクティブ・ラーニングを経験するのは初めてでしたので、自分の所属大学でアクティブ・ラーニングを使うための具体的な着想が得られたと思います。クリスマス教授の効果的なアクティブ・ラーニング・アプローチを通して、参加者はアクティブ・ラーニングを新鮮な方法で学ぶ歓びを経験し、その価値を理解されたでしょう。


 


 平成26年に始まった本学APプロジェクトは、計画当初より教員が主導し、最近では全教員の3分の1以上がワーキンググループに参加し、職員数名がプロジェクトの中で割り当てられた役割を持ち、AP事務局には高度専門職の職員が配置されています。本学APプロジェクトは関係者の献身的な努力によって目標を着実に達成しています。現在ワーキンググループはAPプロジェクトの最初の3年分の大要を終えたところで、関係者がより協働的で、さらに統合的な段階に向かって進んでいることを感じています。平成28年のアクティブ・ラーニング・シンポジウムでのプレゼンテーションは、彼らの成功への道筋を示していると思います。もちろん、本学は参加者に感謝し、皆様の何らかのお役に立つことを祈っています。


 


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