創始者ブログ FOUNDER'S BLOG

2018.03.07

ツィッターと新聞から見える学生

 ツィッターに掲載されている投稿文や写真をみると、若い人たちの考えていること、どんなことが価値のあることだと考えているか、つまり価値観、どのような生活をしているか、どんなことに関心を持っているかがおぼろげながら分かるような気がします。

 恋人がほしい、音楽やダンスに若さをぶっつけてエネルギーを発散させたいという熱い気持ち、都会の喧騒の中に身を置きたい、自分が見た美しい風景や価値のあると思う文化財、おいしそうな食べ物をせめて写真で皆に見せて共有感をもちたい、パーティーや学祭で盛り上がった雰囲気の想い出に酔って、その気持ちを共有したい。これらはツィッターの中味から想像した印象です。私にはもう取り戻せない「若さ」のことですから読んでいて羨ましくなることもあります。自分自身の若かった頃を思い出しても、やはり情動的だったように思います。若さというものはそういうことなのでしょう。

 しかし、素晴らしい恋人に恵まれている人は、通常は恋人がほしいとは思わないでしょうし、音楽や、群(む)れて活動することには興味をもたない若者もいるでしょう。でも、総体的に言って、現代の若者は仲間同志が親密というか、男女の壁もあまり意識することもなく、交友関係を積極的に楽しんでいるように見えます。私たちの世代では考えられなかったことです。私たちが若かった頃は現代に比べて総じてとげとげしいというか、差別感や競争心がいつも働いて、仲間との和を楽しむという雰囲気はあったとしても、少なかったように思います。

 私たちには自由さはあまりなく、考えることは、お腹いっぱい食べたい、偉くなって生活に不自由をしなくて済むようになりたい、目立つような存在になって人から尊敬されるようになりたい、とにかく格好よくなりたい、あるいは目立ちたいとひたすら思っていたように思います。魂が吸い込まれていくような美しい音楽や絵画などに興味をもったことはもちろんありましたが、ほんとに夢中になったのは一部の人達です。いつも、生活に不自由をしないで済むようになりたいというのが第一だったように想い返されます。多くの同年代の人達も同じように思っていたと思いますが、みんなとは違うストイックで優れた人たちがいたのも知っています。

 話は変わりますが、平成30年2月27日付日本経済新聞44面に「大学生5割超読書時間ゼロ」という見出しの記事が出ています。全国大学生協連(東京)が読書時間について大学生の53%が「ゼロ」と回答したとの調査結果を発表したとのことです。「本離れ」が若い世代で進行している実態が明確になり、アルバイトをする学生に読書時間ゼロが多いとの結果も出たそうです。同志社大学の学習支援担当の浜嶋幸司准教授は「高校生までの読書習慣が身についていないことの影響が大きい」と指摘されているそうです。確かにツィッターをみてもバイトがどうこうという話題は出てきますが、読書のこと等はほとんど出てきません。これは大変深刻な問題です。

 前回と前々回のこのブログに藤原正彦先生が指摘された読書離れのことを書きました。私の見解は変わりませんが、アルバイトをすることによって全く読書をしなくなっているのが実態だとするならば、困ったことになっていると深刻に受け止めます。

しかし、私の記憶が間違っていなければ、本学の図書館(学園図書館)での図書の貸し出し数は年々増加していますので、ひょっとすると本学では読書離れは心配はいらないのかとも思います。

 アルバイトについては学費や生活費の問題があるので、教職員には言及し難い、ある種のタブーになっています。アルバイトをするということが、すなわち勉強をしないということになるかどうかは一義的には決められませんが、公平に見て、勉強する時間が著しく制限されていると言えます。勉強だけではありません。読書時間が無くなるのです。

 先日も述べたように、若い時のゆるぎなき感性(sentiment)は歳を重ねるにしたがって鈍っていきます。若い時に感動した文学作品は歳を取ってから読み直すと、それ程には感じなくなっていることがよくあります。それは文学作品に限られたことではないのです。長い人生の中での自己実現の方向性は読書によって得られることが最も多いと思います。その大切な時にアルバイトのために感性を磨く機会を失うことは何とももったいないことです。取り返しのつかないことです。そんなに言わなくてもと思われるかもしれませんが、すぐに結果が見えることではないからこそ、これだけははっきり言っておいた方が良いでしょう。一生を決めるような大切な読書は今行うべきです。早くしないと、歳をとってしまうのです。

 何を読むかは、学んでいることからヒントは得られるでしょう。文学作品は是非古典と言われるものを読んでください。ノウハウものは読みたくなりますが、一般には避けた方が無難です。よく考えると時間の無駄遣いになります。ベストセラーと言われる図書は宣伝であって、価値があるとは限られません。慎重に本を選ぶ必要があります。読書は時間を取りますから、時間を無駄にしないように読む本を慎重に選ぶのが賢明です。

 アルバイトを罪悪のように私が述べていると学生が感じているとしたら、お詫びしなければなりません。やむを得ず学資や生活費を稼ぐために苦労しているのにと、思われるかもしれません。しかし、それでも私はアルバイトの時間を減らしてほしいと思います。若い日は二度と戻ってきません。