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相談役 大坪久泰

相談役
大坪 久泰

相談役メッセージ

世界を変えた10冊の本(1)

2017.03.21

 

 ジャーナリストの池上彰氏についてはこの欄で度々とり挙げました。慶応大学出身でNHK入局、記者、キャスターとして活躍後、ジャーナリストとして、あるいは大学の教授として大活躍、現代を読み解く著書も多数ありますが、解説が分かり易いことでは定評があります。数々の著作を読むと池上氏は大変な勉強家であることもよく分かります。

 今回は池上氏の著書「世界を変えた10冊の本」文春文庫510の表題をお借りして池上彰氏の著書を紹介します。

 私が差し出がましくこの本の紹介などしないで、読んでいただく方がよいのですが、読みたいと思うきっかけにでもなればと思って紹介することにしました。

 この著書の中で池上氏が紹介し、解説されている10冊の本は全部読むべきでしょうが、少なくとも1~2冊は読んでみようと思っているところです。読みたいと思われる方は先ずは池上氏の解説を読んでから読むのが賢明だと思います。

 前置きが長くなりました。世界を変えた10冊の本というのは下記の書物です。英語とドイツ語の書名だけ原名を記しました。表題は出版されている訳書の表題(名)です。

 

  1. アンネ・フランク著「アンネの日記」Het Achterhuis
  2. 聖書 The Bible
  3. コーラン
  4. マックス・ウェーバー著「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」Die protestantische Ethik und der Geist des Kapitalismus
  5. カール・マルクス著「資本論」Das Kapital
  6. サイイド・クトゥブ著「イスラム原理主義の道しるべ」
  7. レチェル・カールソン著「沈黙の春」Silent Spring
  8. チャールス・ダーウィン著「種の起源」On the Origin of Species
  9. ジョン・M・ケインズ著「雇用、利子および貨幣の一般理論」The General Theory of Employment, Interest and Money
  10. ミルトン・フリードマン著「資本主義と自由」Capitalism and Freedom

 

 以下に各図書について私の所見を述べます。

 まず、1の「アンネの日記」です。10冊の本の中で唯一私が読んだことがある図書だと思っていましたし、映画も見たように思います。ところが私が読んだ「アンネの日記」はアンネの父親オットー・フランクが不都合な部分を削除して出版したものでした。原著は可憐な乙女の物語ではなく、性的描写や母親との葛藤などを含む日記だったそうです。この日記はナチによるユダヤ人に対する迫害にまつわる少女の隠れ家での物語なのですが、何故ユダヤ人は迫害されるのか、イスラエルの問題等を分かり易く説明するという意味で人類社会に大きい影響を与えた書物だということです。新しい翻訳書もあるとのこと、私も是非読みたいと思っています。

 最後にアンネ・フランクがユダヤ人としての自覚を述べた部分を孫引きします。

「神様はけっしてわたしたちユダヤ人を見捨てられたことはないのです。多くの時代を超えて、ユダヤ人は生きのびてきました。そのあいだずっと苦しんでこなくてはなりませんでしたが、同時にそれによって強くなることも覚えました。弱いものは狙われます。けれども強いものは生き残り、けっして負けることはないのです!」

 少女アンネ・フランクの堂々としたユダヤ人としての矜持だと思います。

 

次は2の聖書です。

 聖書には旧約聖書と新約聖書があり、それぞれがどのような内容のものであることも明確ではありませんが知っていました。

 キリスト教は世界22億5千万人が信者で、世界の3人に1人が信者ということですから聖書は最も読まれている本として重要です。聖書がどのようなものかを池上氏の解説で若干の予備知識を持って読むと理解しやすいのではないでしょうか。

 旧約聖書はキリスト教徒の側からみて「古い契約」という意味でユダヤ教徒の聖典です。新約聖書は「新しい契約」です。プロテスタント・クリスチャンの聖書です。本学国際教養学部の3・4年次には専門科目として「宗教と社会」「バイブルを聖典とする宗教」「比較宗教学の課題」がカリキュラムに設けてあります。これらの授業を選択する前に、キリスト教信者になるかどうかとは無関係に聖書は読んでおいた方がよさそうです。池上氏の解説は予備知識というより、興味をそそられるという意味で優れています。

 

 池上彰氏の「世界を変えた10冊の本」には残り8冊の本が紹介されていますが、このブログが長くなりましたので、以下の紹介は次回に譲ります。