学長ブログ PRESIDENT'S BLOG

2019.05.15

学長ブログ⑱ 大学教育再生加速プログラム(AP)最終年度

 平成26年度に採択された文部科学省の「大学教育再生加速プログラム(AP)」は5年間の取組を経て、いよいよ最終年度となりました。テーマⅠ「アクティブ・ラーニング」とテーマⅡ「学修成果の可視化」の複合型の本学での取組は、これまで4つのワーキンググループによって活動を行ってきましたが、平成30年度は個々の活動を一つに統合することができました。

 平成30年度からの新たな取組である「学生によるAP改善委員」の導入は、本取組を大きく進展させました。これまで教員の視点で考えてきたAPを学生の視点から捉えなおすということを通して、教員側は多くの気づきを得る事が出来ました。(AL改善のための学生グループ活動 

 また、クリティカル・シンキング(CT)能力育成に焦点を当てた「AL事例集」の作成、独自に開発し実施、検討・分析したクリティカルシンキングテスト、ディプロマ・ポリシー(DP)の5項目に対応したルーブリック付きシラバス、DPで定められた学修成果を可視化するためe-ポートフォリオへのレーダーチャート導入など、更なるe-ポートフォリオ活用に資するシステムの開発が行われました。

 ここでは、昨年度、関西国際大学と共同開催したAP合同シンポジウム(会場:関西国際大学・尼崎キャンパス)の内容を紹介します。本シンポジウムには、関西地方を中心とした大学の教職員約100名が参加されました。 「社会が求める力をどのように育成し可視化するか」とのテーマで、文部科学省高等教育局大学振興課大学改革推進室 平野博紀室長のあいさつに始まり、労働政策研究所・研究機構の小杉礼子先生、(株)ニッセイコムの貞松逸郎人事総務本部執行役員本部長、インターアクト・ジャパン 帯野久美子代表取締役、実践女子大学の深澤晶久先生をお迎えして、基調講演、報告、パネルディスカッション等が行われました。
 合同シンポジウムに先立ち、ポスターセッションも開催され、両大学の学生が事業報告、課題探求型インターンシップ報告を行いました。本学からは、アクティブ・ラーニング改善学生グループの藤山佳菜子さん、宮本啓太郎さん、籾木那奈美さんの3名が出会しました。3名の学生は、用意したポスターを中心に、本学の取組についての説明と学生の視点からアクティブ・ラーニングをどのように改善したら良いかということを報告しました。

 パネルディスカッションでは、様々な議論が展開される中で、モデレーターを務められた関西国際大学の濱名篤学長がテーマと関連付けながら進行されました。また、報告では、関西国際大学の藤木清学長補佐、本学(宮崎国際大学)の西村直樹学長がそれぞれの大学の取組を紹介しました。

 「社会が求める力をどのように育成し可視化するか」という課題は、大きなテーマであす。大学と産業界との評価観のギャップをどのように考えるか、学修成果の可視化をどこまで、どのように行うのか、アクティブ・ラーニングの可能性、さらに生涯学び続けるということについて、幅広い議論がなされました。

 このような議論の中で、私は3つのことを学びました。

 第1は、「皆で学生を育てる」という視点の重要性です。大学、企業、地域が一体となって学生を育てることが必要だと思いました。そのためには、大学は、企業の方々にご理解いただけるように情報を発信しなければなりません。そして発信した情報を理解して頂くには、双方向的な対話が重要になります。そこでは協働する力が大学教員に求められます。重要なのは、大学と企業は価値観が違うということを知ることだと思います。

 第2は、学修成果の可視化では、学生が成長を実感できる可視化を目指すべきであるということです。学生自らが自己評価することで、自分自身がわかる、さらに自分が社会にどのような貢献ができるかを分かる事が大切であると思いました。それには自己肯定感を育むことは不可欠です。また、これらの大学で行っている可視化を企業に理解していただける形で示すことが必要であると思いました。

 第3は、アクティブ・ラーニングの学修効果についてです。アクティブ・ラーニングには、関西国際大学がされているような企業と連携して行う課題探求型のアクティブ・ラーニングと本学の授業で実施しているようなアクティブ・ラーニングの大きく2種類があります。それぞれに、学生が自ら考えることが必須の学修です。一人で行う学修をだれかと対話することで、学びを深めるのがアクティブ・ラーニングです。無から有を生む出すためには、考える力が必要になります。考える力の育成を目指しているのが、アクティブ・ラーニングです。

 私自身が、シンポジウムを通して学んだことを書かせていただきました。キーワードは、対話、協働、自ら考えるということです。
 シンポジウムを終え、ポスター発表をした学生とこのような話をしました。

学長:どのような質問があった?

学生:ポスター内容についての詳細な質問となぜあなたたちはここにきて発表しているのかという質問でした。

学長:どのように答えたの?

学生:私たちは、教育改善委員として、先生たちが開発した方法が本当に学生のためになっているか、学生の視点で検証するためです。

 この会話を通して、ポスター発表において素晴らしい対話がなされたことを感じました。

 平成30年度のシンポジウムは、関西国際大学の濵名篤学長先生をはじめとして、多くの先生方のお力を頂戴して実現できました。心からのお礼を申し上げます。

 最後に教育改善委員の学生が作成したプレゼン資料とコメントを掲載します。

学生コメント

 私は先日、関西国際大学と宮崎国際大学の合同シンポジウムに参加しました。「社会が求める力をどのように育成し可視化するか」をテーマに、社会が求めている力・大学が求めている力・学生が求めている力をマッチさせ、社会に出た際に必要とされているスキルが身に着いた学生を育てるにはどうしたらよいのか、何を改善していくべきなのかなどを話し合いました。シンポジウムを通して、改めて宮崎国際大学の教育水準の高さを実感しました。英語で多種多様な科目を学ぶリベラルアーツ教育を行うことで、日常英語力にとどまらない、専門的な英語力を身に付けていること、また物事を多面的に考える思考力など、宮崎国際大学の教育だからこそ身に付けることができた力を改めて感じることができました。今後はAL改善委員会として学校が目指す教育の方向性をより明確化し、学生と教員が目標を共有できる、一体化した学校を目標に活動していきたいです。

国際教養学部3年(現在4年生) 藤山佳菜子

 APシンポジウムに参加させていただきました。

まず、今回のシンポジウムへの参加にあたって、同時に開催された両学校のポスターセッションを実際プレゼンさせて頂きました。私は3年生の先輩と共に、生徒自身が考える「宮崎国際大学での主体的な学習の現実に向けた4年間の学び」について自分たちでポスターを作成してきました。本学で推進されている1年時からのリベラルアーツ学習をはじめ、二年次後期の海外研修、4年間の学修の結果であるキャリア実績など宮崎国際大学ならではの学びをまとめさせていただきました。外部の先生方から注目・指摘された点はやはり「全授業における少人数の英語学習」というスタイルでした。実際に、ポスターセッションの時間では、この独特な本学の学習スタイルに対する評価や質問を多く受けました。

 合同シンポジウムでは、『社会が求める力をどのように育成し可視化するか』をテーマに教師陣や実際の企業の代表の方々によってプレゼンテーションとディスカッションが行われました。テーマに沿って主に『インターンシップ』に注目して、大学卒業後の社会で若者に求められる能力とは何か分析し、それを学びに取り入れ、その能力をただ身に付けるだけではなく、可視化・目に見える形で発信することができるかどうか測る必要があるのではないかというお話でした。しかし、現在の日本社会の中では、企業における能力評価の課題、大学における学習評価の課題、そしてと企業と大学の接点の構築における課題によって学修の可視化の実現が難しいことが挙げられました。

 正直、両パート私にとってはとても難しく内容が濃いものでした。しかし、これから就職をむかえる身として、大学の学修と企業がもとめる能力が相違っていることを再認識し、私が大学卒業まで身に付けるべき能力・何が必要なのか深く考える機会となりました。

 最後に私のみ2年生であるにも関わらず、この合同シンポジウムのメンバーに選んで頂いたこと、貴重な経験をさせて頂いたことにとても感謝をしています。今回のシンポジウムを通して得た学びを大切にし、より本学での学修に励みたいと思います。

国際教養学部2年(現在3年生) 籾木那奈美

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