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2018.05.09

教育学部講師 就任挨拶(村端 佳子 先生)

 みなさんこんにちは。村端佳子と申します。出身は島根県松江市ですが、大学時代は大阪で過ごし、その後、北海道、高知、神戸、アメリカのワシントン州、を経て、3年半前に宮崎に来ました。大学を卒業してからは、まず高校で英語を教え、その後もいろいろな大学で英語を教えてきました。

 英語は中学・高校と好きな科目だったのですが、英語と日本語の違いに、常にワクワクしていました。例えば、I think he won’t come. ではなくてI don’t think he will come. と言うのですよ、と教えられる。日本語では「車で学校に行く」「走って学校に行く」「歩いて学校に行く」などと言うのに、英語ではdrive to school、 run to school、walk to school、という表現ができる。言葉はなんて不思議なんだろう、と思いました。そして「これだけ英語と日本語は違うのだから、英語を話す人たちと日本語を話す私たちは、ものの見方が違う」と思うようになりました。そのような考え方は「サピア・ウォーフの仮説」といって、「言語が思考を決定する」とか「言語は思考に影響を与える」というような「仮説」であると、ずっと後になって知ったときには、「同じようなことを考える人がいるんだ!」と嬉しく思いました。そのときにはまだ、その「サピア」という人が有名な言語学者で、「ウォーフ」がサピアの弟子で文化人類学者であったこと、またどのような経緯でそのような考え方が生まれたのか、ということなど全く知りませんでしたけど。

 その後イギリスの大学で、言葉がどのように私たちのものの見方や考え方に影響を与えているか、その実証研究をすることができました。イギリスの大学では、日本で教えながらパートタイムの学生として研究を続けて論文を書いていたので大変でしたが、その期間は楽しくて楽しくて、新しい研究結果を見つけるたびにワクワクの連続でした。人の方向感覚を鋭くさせるような言語があるとか、言語によって色の名前が異なりそれが色の記憶に関係するとか、モノとモノとの結びつきの感覚が話す言語によって異なるとか、名詞の複数形が数や量の見方に影響を与えている、とか。高校時代から抱き続けてきた小さな疑問の答えを、やっと発見することが出来たからです。

 それでは、例えば日本語の母語話者が英語を学ぶとどうなるのでしょう。英語の母語話者が日本語を学ぶとどうなるのでしょう。二つの言語の見方ができるようになり、より柔軟な考え方ができるようになる、と言えるのではないでしょうか。また、日本語話者と英語話者の考え方の違いや話し方の特徴が分かれば、異文化理解にも貢献できます。でも英語を学習することは日本人らしさを失うことに繋がらないのだろうか、という危惧もあります。そのような課題を頭の片隅におきつつ、授業をしているこの頃です