在学生・卒業生の声 VOICE

自分にだからこそできる、伝えられる何かがある。

野村 妙子さん

カナダ・バンクーバー在住
2008年卒業 宮崎県立高鍋高等学校出身

 カナダ・バンクーバーへ移住して丸6年が経ちました。MICを卒業してからはなんと10年です。MIC在籍中はとにかく全てを楽しく学び、新しい発見や出会いに心から喜びを感じていました。多くの授業や教授らとの出会いで私の世界平和の思いは深まり、東京の大学院(恵泉女学園大学)へ進む決意をしました。ところが検診程度のつもりで行った眼科で、難病指定を受けている「網膜色素変性症」との診断を受けました。最初のうちは余り深刻には受け取らず、希望に満ちて上京をしました。ところが、初めての大都市での生活、障害を持って生きる現実、修士論文を書き上げる苦労が続きました。

 楽しかったMICでの学生生活から一変して挑戦の日々の連続に。なんとか大学院を修了するも、希望の団体への就職は出来ず、目の障害を理由に 途上国での現場での平和構築への貢献も諦めることを決断しました。幸い都内の社会福祉法人へ就職できましたが、何のための進学だったのかと、悲観するようになりました。

 その法人には2年勤め、カナダ出身の今の夫との結婚を機に移住をし、新しい生活が始まりました。海外での生活も最初は楽しかったのですが、永住ともなると、そう甘くはありません。特に不動産事情は深刻です。年々不動産の価値が上がり、家賃や固定資産税も上がっています。若年層の薬物問題、老若男女を問わないホームレスの人たちの増加も大きな社会問題です。世界でもっとも住みやすい国の一つではありますが、それはあくまでも統計なのです。インフラや物には恵まれていても、精神疾患に悩む人々や希望を見いだせないでいる人たちが大勢います。ボランティアや研究で行ったミャンマーの人々のほうがよっぽど充実した生活を送っているように思えてきました。

 そんな中、友人らとの集まりで世界平和は「『一人』を大切に」することから始まるという思想に巡り会いました。これまで私は恵まれていない状況下にいる人に焦点を当ててきました。ところが前述の「一人」は特定されていないのです。この世から貧困、戦争、差別などを取り除くことだけが平和の構築ではないのです。どんな環境や状況にあろうとも希望を与え、励ましあい、喜びを分かち合うこともまた同時進行するべきなのです。そして、それを実行するのは特別な専門家や、技術者である必要もないのです。頭では理解出来ますが、それを自身の生活と地域社会で実践し、継続していくことは決してたやすいことではありません。しかし、平和構築にはもう携われていないと失望していた私にはその思想は希望の光でした。

 カナダでの生活7年目の今年、目の病状の進行を理由に、3年務めた介護施設を2月に退職し、事務職へ転職しました。目の障害に苦しめられる宿命に嘆く自分を、目の障害がある自分にだからこそできる、伝えられる何かがあるという使命に満ちた自分に転換しています。現在の職場でも、これまでの私らしく妥協を許さず、常に成長していく決意です。そして「一人」を大切にできる人材を養成し、平和構築への貢献に挑戦して参ります。